フラつきを感じやすい方

ふとした瞬間にフラつきを感じることはありませんか。
その背景にはさまざまな要因が考えられますが、栄養素の働きも日々のコンディションに関わっているといわれています。
なかでもビタミンCは、抗酸化作用だけでなく、鉄の吸収過程に関わる栄養素としても知られています。

日々のコンディション維持のため、栄養素の働きに目を向けてみましょう。

貧血とは、全身の組織へ酸素を運ぶ能力が低下した状態を指します。

貧血とは、全身の組織へ酸素を運ぶ能力が低下した状態を指します。この状態が続くと疲れやすさや立ちくらみ、息切れなどの自覚症状があらわれることがあります。
貧血にはいくつかの種類がありますが、なかでも比較的多いのが、酸素を運搬するヘモグロビンの材料となる鉄が十分でない状態が影響する鉄欠乏性貧血です。厚生労働省の患者調査(2017年)では、医療機関を受診した鉄欠乏性貧血の患者数は約10万人と報告されており、そのほとんどが女性となっています。
体内の鉄の貯蔵量を反映する指標として医療現場では「血清フェリチン濃度」が参考指標として用いられています。「国民健康・栄養調査(平成21年)」によると、血清フェリチン濃度が15ng/mL未満の割合は、男性では0~5%程度であるのに対し、女性では20~40代で45%以上と報告され、月経のある女性の約半数が鉄欠乏の状態にあることが示されています。

フェリチン低値者の割合

POINT

調査結果

ある医療機関が1981年~1991年に行った3,015名の女性を対象とした調査では、鉄欠乏性貧血8.5%, 潜在性鉄欠乏8.0%, 貯蔵鉄欠乏33.4%, 正常43.6%, その他6.5%という結果が報告されています。
年代別にみると、鉄欠乏性貧血の頻度は10代前半以降に増加し、高校生や主婦層で比較的高い傾向がみられています。40代前半では17.2%に鉄欠乏性貧血がみられたとも報告されており、その後は高齢になるにつれて低下する傾向が示されています。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行することが多く、体が徐々に慣れてしまうため、自覚症状がはっきりしない場合もあるといわれています。体調の変化だけで判断するのではなく、健康診断などの検査を通じて状態を確認することが大切とされています。
特に思春期などの成長期には体内での鉄需要が高まることが知られており、より注意が必要な時期になります。

POINT

女性と鉄の必要量

女性に鉄欠乏性貧血が多い背景には、鉄の摂取量だけでなく、月経による鉄の喪失などさまざまな要因が関係していると考えられています。妊娠・出産・授乳期には体内での鉄の必要量が増加することも知られており、ライフステージによって鉄の需要が変化することが示されています。
また、過度な食事制限などにより栄養バランスが偏ると、血液の生成に関わる栄養素が不足する可能性も指摘されています。

年代別にみる鉄のバランスに影響する要因
思春期 成長需要の増加 身長や筋肉量の増加により、体内での鉄の必要量の高まり
食事の不安定さ 朝食欠食や偏食などにより、栄養バランスが偏り
運動量の増加 部活動などによる消耗の増加
20~40代 月経等による消耗増 月経や妊娠・授乳期による必要量の増加
食事制限やダイエット 摂取エネルギーや栄養素の不足
食生活の偏り 外食や簡便食中心の生活による栄養バランスの偏り
50代以降 食事量の変化 加齢に伴う摂取量が変動
食品選択の変化 動物性食品の摂取減少などによる、鉄の摂り方の変化
栄養利用の変化 体内での栄養の利用効率の変化

POINT

食事からの鉄摂取

食事から鉄を摂取する場合、その吸収率は食品の種類によって異なります。鉄は、肉類や魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や豆類、海藻などに含まれる「非ヘム鉄」に分けられます。一般にヘム鉄の吸収率は10~20%程度、非ヘム鉄は1~8%程度と報告されており、同じ鉄でも食品の種類によって体内への取り込まれやすさに違いがあります。

1回使用量あたりの鉄含有量

鉄の状態を保つためには、鉄そのものの摂取だけでなく、食事全体のバランスも重要です。エネルギー源となる炭水化物や体を構成するタンパク質などを適切に摂ることが、日々の栄養管理の基本となります。
極端な食事制限を行うと、必要なエネルギーや栄養素が十分に確保できない場合があります。エネルギー不足の状態では体内でのタンパク質の利用バランスにも影響が及ぶことがあり、栄養の働きが十分に発揮されにくくなる可能性も考えられます。

POINT

鉄の吸収率とその特徴

鉄はもともと体内での吸収率が高い栄養素とはいえず、食事から取り込まれる割合はおよそ10%前後と報告されています。一方、汗や尿などによって1日あたり約1mgの鉄が体外へ失われるといわれており、日々の食事の中で鉄を含む食品を継続的に取り入れることが大切とされています。
鉄の吸収率は体内の貯蔵量によっても変化し、貯蔵鉄が少ない場合には吸収率が高まり、多い場合には抑えられる傾向があります。「ヘム鉄」は主に体内の鉄の状態に影響を受けますが、「非ヘム鉄」はそれに加えて、一緒に摂る食品や栄養素の影響を受けやすいことが知られています。
例えば、非ヘム鉄は特定の栄養素と組み合わせることで吸収率が変化することが報告されています。研究によると、ビタミンCの摂取量によって非ヘム鉄の吸収率が約5%から20%程度に変動した例も示されています。ただし、実際の吸収率は食事内容や体内状態によって異なります。
このように、鉄は摂取量だけでなく、体内の状態や栄養素の組み合わせによって吸収が左右される栄養素です。その中でも、鉄の吸収過程に関わる栄養素のひとつとして、ビタミンCが知られています。

鉄の吸収率とビタミンCの関係

POINT

鉄の吸収をサポートするビタミンC

日本人の食事から摂取される鉄の約85%は「非ヘム鉄」といわれています。非ヘム鉄の吸収率はおよそ1~8%程度と報告されており、食品成分の影響を受けやすい特徴があります。日本人の食生活を考えると、日々の食事の中で非ヘム鉄をどのように取り入れ吸収を増やすかが重要な視点のひとつとなります。
複数の研究では、ビタミンCを同時に摂取することで非ヘム鉄の吸収率が変化する可能性が示された報告もあります。ビタミンCは鉄を還元型に変換し、鉄の吸収に影響を与える穀類や豆類に含まれるフィチン酸やポリフェノールなどの影響を受けにくくする作用が示唆されています。

鉄の吸収構造のちがい

鉄の吸収を高めるカギはビタミンC

鉄はヘモグロビンの構成成分であり、ヘモグロビンは体のすみずみまで酸素を運ぶ役割を担っています。ビタミンCは、こうした鉄の吸収過程に関わる栄養素として知られており、日々の栄養管理の中で意識される組み合わせのひとつとされています。また、貧血の背景には鉄の不足だけでなく、出血や体内のさまざまな状態など複数の要因が関与していることも知られています。
ビタミンCは血管の構造を支えるコラーゲンの生成にも関与しており、血管の健康管理との関わりも研究されています。
鉄欠乏性貧血の治療には医師の管理のもとで鉄剤などが用いられています。ビタミンCやタンパク質などの栄養素との関連についても研究が進められており、日々の食事で栄養素の組み合わせを意識することも、健康管理のひとつの視点とされています。

KEY POINT

フラつきとビタミンCの関係

  • フラつきの背景には、鉄不足による酸素運搬量の低下が関わることがあるといわれています
  • 鉄はヘモグロビンの材料となり、体内で酸素を運ぶ役割を担っています
  • 日本人の食事では、吸収率の低い「非ヘム鉄」の割合が高いとされています
  • ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収過程に関わる働きが報告されています
  • 鉄は摂取量だけでなく、栄養素の組み合わせによって体内での利用のされ方が変わるとされています

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