ビタミンCは胃などで消化されることなく、そのまま消化管（主に小腸）から吸収されます。そして、血流にのって各組織に運ばれ貯留され必要な時に利用されます。
ビタミンCの吸収率はどのくらいなのでしょうか？
ビタミンC摂取量と尿中へのビタミンC排泄量の関係でみると、1日200mg程度のビタミンCを摂取した場合の吸収率は80～90％、さらに1,000～5,000mgまで増やしていくと吸収率は徐々に減少し、20％程度まで低下するといわれています。しかし、たとえ吸収率は低下しても吸収量自体は増えるため、体の中のビタミンCは高い濃度で維持されます。
ビタミンCはとても水に溶けやすいため、血液中に溶け込みやすく、血流に乗って全身に運ばれます。そのため、吸収量はほぼ100％といえるといってよいかもしれません。
つまり、血液中のビタミンCを高い濃度で維持するためには、ある程度の量を摂った方がよいということになります。
私たちの体は、ビタミンCが必要ならば吸収され、不要ならば尿として排出されます。体の中で使われてしまうビタミンCの量はそれぞれ異なるので、ある程度のビタミンCを摂って、血液中の濃度を高めておくことが大切だと考えられます。
ビタミンＣをこまめに摂ると
高濃度でキープできるよ。
では、ビタミンCを数回に分けて摂った場合はどうような影響を与えるのでしょうか。
一度に数グラムのビタミンCを摂った場合は、急速に血液中のビタミンC濃度が増えていきますが、ピークを迎えた後は徐々に下がっていき元の状態に戻ってしまします。
しかし、数回に分けて摂ることで、血液中のビタミンC濃度を高い状態に保つことができ、少ない量よりも多く摂ることで、その状態を長く維持できることがわかります。
ビタミンCはこまめに摂った方が良いといわれる根拠はここにあります。
POINT
ビタミンCはとても安全で過剰症はありません。
一般的な食生活をしている人の中で健康障害があらわれたという報告は見られません。
ビタミンCを過剰に摂取したとしても消化管からの吸収率が低下し、尿中排泄量が増加するため、広い範囲で安全であると考えられているため、ビタミンCの食事摂取基準では耐用上限量は設定されていません。
副作用は下痢くらい
ビタミンCには緩下作用（便を柔らかくする作用）があるため、一度に5g以上といった多量のビタミンCを摂取すると、便が柔らかくなったり、下痢になったりすることがあります。
もし、このような症状が出た場合は、一時的に中止するか、量を減らすことで解決することができます。また、個人差によるものが大きいため、このような症状が出ない人もいます。
ビタミンCは結石のリスクにならない
ビタミンCを摂りすぎると尿中のシュウ酸が増えて、シュウ酸カルシム結石のリスクが高くなるといわれたことがありました。
しかし、ヒトではビタミンＣからシュウ酸ができる代謝経路は主経路ではなく、また、実際に大量のビタミンＣを経口摂取しても尿中に排泄されるシュウ酸量が有意に増加しないことがさまざまな研究で分かっています。そのため現在では、ビタミンＣによって結石のリスクが高くなることはほぼ否定されています。
結石の原因は、食生活や生活習慣の影響の方が大きいようです。
POINT
ビタミンCの推奨量は、成人で1日当たり100mg、これは13種類のビタミンの中で最も多い量です。
一方、ビタミンの中で最も少ないビタミンB12の推奨量は1日0.0024mgです。ビタミンCの推奨量はビタミンB12の約40,000万倍となります。これだけ多くのビタミンCを摂らなくてはいけないのは、それだけ体の中で必要な栄養素であるといえるかもしれません。
ビタミンCは不足しがちな栄養素なので、ビタミンCの摂りすぎよりも補うことを心がけるのが良いでしょう。
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